「SSSS.GRIDMAN」(エスエスエスエス、グリッドマン)というアニメがあります。
見た感じ単なる怪獣・ロボットアニメなので敬遠していましたが、見てみると作りこまれた設定・世界観に感動しました。
まだ見ていない方は先にアニメを視聴するのをおすすめします。
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このアニメを見ると、結局どういうことだったのか気になる方は多いのではないでしょうか?
さっそく考察してみたいと思います。
SSSS.GRIDMANとは結局どんな話だったのか?
一言でいうと「夢オチ」です。
アカネは裕太たちの世界(以下アカネ世界)の創造主ですが、最後には布団から起き上がるシーンがあります。(12話22:00)
これはアカネの中の人(以下現実のアカネ)がアカネ世界から覚醒し、現実に戻ってきたことを表しています。
・現実のアカネは現実でつらいことがあり、夢の中に逃避した。
・一晩の夢の中で理想のアカネ世界を創り出し、怪獣を暴れさせて遊んでいた。
・理想の世界であるはずのアカネ世界だが歪みが発生して、その不満・退屈をアレクシスに付け込まれた。
・アカネ自身が怪獣に変身させられ暴れるが、最後はグリッドマンに倒され救われる(生きていく気力を取り戻す)。
・六花に励まされ、アカネは夢から覚醒し現実世界に帰っていく。
つまりSSSS.GRIDMANの主人公は裕太ではなく、実はアカネでアカネの成長を描いた話なのでした。
世界観・設定
上の話が分かれば、SSSS・GRIDMANがどういうことだったのか見えてくるのではないでしょうか?
もう一度アニメを見返してみるといろいろ発見があると思います。
より話を理解するために、世界観・設定を見ていきましょう。
・キャラクターの目の色で正体が分かる
登場するキャラクターの目の色は役割によって決まっています。
作中では、金・青・赤のキャラクターが存在していました。
・金はアカネ世界の外から来た存在(グリッドマン、アノシラス2世、アレクシス、問川、立花ママ)
・青はアカネに作られた存在、つまりNPC(裕太、内海、立花、学校の人々etc..)
・赤は怪獣(怪獣たち、アカネ、アンチ)
グリッドマンやアレクシスは明らかにアカネ世界の外からきた存在ですから分かりやすいですね。
アノシラス2世も、アカネがアカネ世界を作る前からそこにいた存在なので金色です。
気になるのは立花ママ、問川(1話でボール遊びをしててアカネに消された人)です。
立花ママはなぜかアカネに作られたNPCではありません。
(アノシラス2世のように元々存在していたのか、後から世界に入ってきたのかは謎)
登場キャラの大多数は青色の目をしており、これはアカネに作られた存在です。
基本はアカネの設定どおりに行動します。
最後の赤色は怪獣です。
アカネが作り出す怪獣は全部赤い目をしています。
アカネ自身も金色ではなく赤い目をしているのは面白いですね。
(内面に破壊衝動があるから?)
・アカネの生み出す怪獣の役割は?
アカネが世界を自分の都合の良いように改変するために使うのが怪獣です。
アニメ1話でも、ボールをパンにぶつけてアカネの機嫌を損ねてしまった問川がアカネの生み出した怪獣により消されてしまいました。
アカネは粘土で怪獣を成形し、アレクシスに実体化してもらいます。
そうすると怪獣が勝手に暴れだす(動かすことはできない)ようです。
先生を消そうとしたときにはグリッドマンに止められて失敗していましたよね。
・霧の怪獣の役割は?
アカネが改変した世界を修復し、人々の認識を改ざんします。
怪獣はまず、破壊されてしまった建物などを修復します。
そのあとで、人々の認識を毒霧によってごまかします。
毒霧により、人々は世界が変わったことに気づくことができません。
・SSSSって?
SSSS.GRIDMANの英語表記は「Special Signature to Save a Soul GRIDMAN」です。
日本語に訳すとダサくなってしまいますが、「魂救済特別情報体グリッドマン」となるでしょうか
英語表記の略でSSSSとついているようです。
実際、アニメ最終話でも現実のアカネの魂を救済し、グリッドマンは帰っていきました。
”Signature”について
この単語はいろいろな意味がありますが、代表的な訳語である「署名」ではグリッドマンとして意味が通りません。そこで、情報セキュリティ分野の「シグネチャ」(ウイルスや感染ファイルに共通する情報、つまり悪意の痕跡)と考えます。グリッドマンも悪意の痕跡の一種だが、スペシャル(特別)がついているので善の方向、と私は解釈していますがどうなのでしょうか。
伏線・小ネタ回収
SSSS.GRIDMANを見返してみると、思わず唸らされる伏線が多くあり驚きました。
私の見つけた、考えた範囲で拾っていきたいと思います。
拡大解釈の可能性もありますがご了承ください。
・なぜ裕太にグリッドマンが乗り移った?
アニメ最終話で六花により述べられています。
内海:「なんで裕太にグリッドマンが宿っちゃったんだろ?」
六花:「んー、響君アカネの隣の席だったし」
内海:「そんな理由があるかよ」
六花:「多分それだけじゃないと思うけど」
この後に「アカネの周りに集まるクラスメイト達と対照的に、立花と目が合い照れる裕太」の描写が入ります。
アカネの世界のクラスメイト達は全員アカネのことが好きになるはず(設定)なのですが、裕太は立花のことが好きだったのが分かります。
つまり裕太は一種のバグだったわけで、グリッドマンにとっても裕太は乗り移りやすい対象だったと考えられます。
・裕太が記憶を失う前に何があった?
1話で裕太が目覚めて記憶喪失になり、六花が病院に連れていくシーンでの会話
六花「ねえ、記憶がないってことはさ、今日のこと全部覚えてないってこと?」
裕太「うん」
六花「そっか… でも、もし記憶喪失の振りだったら最悪だかんね」
この日に六花にとってうれしい何かが裕太との間にあったことが分かります。
「今日のこと全部」は何だったのでしょうか?
以下の2つの解釈ができると思います。
①裕太が六花に告白してOKされた
②六花が裕太に告白してOKされた
どちらとも取れますが、私は①ではないかと思います。
理由は最終話でグリッドマンが「裕太の想いは変わらなかった」といって六花が赤面しているシーン。
つまり、六花は裕太が自分に好意を持っていたことを知っているわけですね。
裕太が六花に告白したのでなければ、六花がその好意に気づくとは思えません。
(そこまで自信過剰なキャラではないはず)
「裕太が六花に告白し、それが六花にとって嬉しかった」
のではないでしょうか?
OP曲の歌詞考察
SSSS.GRIDMANのOP局は「UNION」です。
この曲の歌詞が特徴的で、アニメの内容をよく描写しています。
目を醒ませ
僕らの世界が何者かに侵略されてるぞ作り物のようなこの日々に
僕らのS.O.Sが加速する
何かが違うと知りながら
見慣れた空 同じ景色に今日が流れていくあの日の誓いってなんだっけ
教室で何を語ってたっけ
このままじゃ約束まで消えてしまう目を醒ませ
僕らの世界が何者かに侵略されてるぞ
これは訓練でもリハーサルでもない
覆われた日常というベールを勢いよく剥がしたら
戦いの鐘が鳴る
それじゃとりあえず同盟を結ぼうか君を’退屈’から救いに来たんだ!
1~2行目:そのままですね。裕太たちの世界が何者か(アレクシス)に侵略されてます。
3行目:実際に作り物の世界だから。裕太たちの世界はアカネにより作られています。
5~6行目:アカネにより世界が改変されていることを示しています。霧の怪獣により、世界の変化にみな気づくことができません。
7行目:「あの日の誓い」の解釈が分からないですが、グリッドマンの立場での誓いでしょうか。世界を侵略から守る的な。
8行目:「教室で語っていたこと」は裕太が語っていたことでしょう。
9行目:「約束」は裕太、グリッドマン両方の約束でしょう。裕太は「六花との間の約束(=付き合うこと)」、グリッドマンは「世界を救う」という感じ。
12行目:アカネ世界は六花からすればシミュレーションのようなものですが、裕太たちからすれば訓練やリハーサルではなく現実そのものです。「作り物ではなくリアル」であることを強調しています。
15行目:同盟とはもちろん「グリッドマン同盟」のことです。
16行目:グリッドマンが「アカネ」を「退屈」から救いに来ています。