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第32回世界コンピュータ将棋選手権決勝の棋譜を振り返る【dlshogi vs 二番絞り】

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第32回世界コンピュータ将棋選手権(WCSC32)が、2022年に開催されました。

その時の優勝は、ディープラーニング系AIとして有名な「dlshogi with HEROZ」でした。

この棋譜が今見ても凄まじい一局でしたので、振り返っていきます。

二番絞り vs dlshogiの棋譜振り返り

第32回世界コンピュータ将棋選手権の棋譜は、こちらのサイトで見ることができます。

局面、棋譜などは以下のサイトから利用させていただいています。

序盤①〜出だしは角換わり

決勝戦は、2番絞りの先手となりました。

角換わりの出だしになります。

dlshogi-final1https://tsec-shogi.com/より引用

 

続いて、まず先手の二番絞りが▲4七銀と腰掛け銀を明示します。

後手の作戦には、早繰り銀(△7三銀〜△6四銀)もあるところです。

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手が進み、近年とてもよく見かける角換わりの形になりました。

後手はここから仕掛けても少し悪くなるので、なるべくいい形で先手の攻めを待つことが多いです。

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後手(dlshogi)はこのまま待機するかと思われましたが、47手目△6五歩と積極的に仕掛けていきます。

△6五歩以下、▲同歩、△同桂、▲6六銀、△6四歩と進みました。

後手はこの後、△8六歩から飛車先の歩を交換して歩を手持ちにして次の攻めを狙うことになります。

中盤①〜仕掛けたのはdlshogi

 

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このまま待っていても先手は防戦一方になります。

一回▲6八金としてから、先手の二番絞りも▲4五歩と攻め返していきました。

この段階では、もちろん形勢は互角です。

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中盤②〜堅さを活かし攻めに出るニ番絞り

少し進んで、先手の二番絞りが▲3四飛とした局面です。

ここで△4三銀で飛車が捕まっていますが、▲3ニ飛成と切り飛ばしていきます。

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この局面、自玉の堅さを頼みに強攻するニ番絞りと、バランスで対抗するdlshogiが対照的です。

現在はバランスが重視されていますが、穴熊など堅さを頼みに攻めまくるのは将棋の醍醐味ですよね。

人間なら先手が勝ちやすいように思えますが、最高峰の将棋ソフト同士だといい勝負です。

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中盤③〜囲いをうまく補強しニ番絞りが攻めに専念する

続いて後手のdlshogiが△4六馬と引いた局面。

この▲7八桂が面白い手です。

玉の脇腹を埋めつつ、8六の地点を受けた手で、先手玉が一気に見えなくなりました。

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先手玉のどこを攻めたらいいのか見えづらく、後手は焦りそうな局面ですね。

ここから△2一飛でと金をとり、手を戻していきました。

この後は、先手のニ番絞りが攻め切るか、dlshogiが受け切るかの勝負になります。

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上図は、▲3三桂に△5一金と打って受けた局面です。

取れる角を取らずに△5一金は見えづらい一着ですね。

角を取る△2五馬では▲2一桂成、△同玉、▲4二飛でダメとはいえ、凄まじい辛抱です。

終盤①〜dlshogiは玉が追い出され中段に逃走

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先手のニ番絞りが攻め続け、後手のdlshogiの玉は中段に押し出されます。

細い攻めをつなぐニ番絞りの指しては非常に参考になるので、ぜひ並べてみてください。

また手が進んで、▲3三飛成の局面。

直前の△8六歩を手抜いての飛車成は迫力があります。

王手で△8七歩成と金を取られてしまうからで、ここで攻め切ってやる!という強い気迫を感じる一手です。

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終盤②〜dlshogiは追い詰められたかに見えるが…

この局面での評価値は、先手が+300ほど。

ここからニ番絞りが攻め切るかに思われましたが…

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先手が▲4五角と打った局面。

これは▲7ニ角成、△同玉、▲4ニ龍以下の詰めろになっています。

ですので、後手のdlshogiは△7一金と受けました。

先手玉は有効な王手があまりない形ですが、次に△7九角と打たれると受けがありません。

そこで…

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▲8六桂!

と跳ねました。

後手の狙う△7九角に▲7八金の受けを用意しつつ、自陣の桂馬を攻めに活用した一着です。

終盤でこんなおしゃれな手が出てくるようでは決まったか、と思ってしまいます。

この後の後手(dlshogi)の一着が大きな話題となりました。

終盤③〜自玉の危険度を正確に見切った一手

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△4九角!

ぱっと見、狙いがわかりません。

5五の金に当てる△6六角や△6六銀、もしくは直接先手玉に迫る△7九銀を考えるのが人間の第一感です。

この手は次に、△6六金と打てば△7六金以下の詰めろになりますが、△4九角自体は何でもありません。

「自分の玉に詰めろは来ないので、次に詰めろになる手で攻めますよ」

と宣言した一手で、自玉に詰めろが来ないことを見切った素晴らしい一着です。

そして、本局の総仕上げとなる一手がこちらです。

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△9一玉!

差し手のインパクトも凄まじいですが、この手のポイントは次の▲7ニとが詰めろにならないことです。

(▲8一とに△9ニ玉で詰まないので△6六金で後手勝ち)

ですのでニ番絞りは▲7八金と受けに回りますが、冷静に攻めたdlshogiの勝ちとなりました。

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まとめ:ニ番絞り vs dlshogi はコンピュータ将棋らしい名局

この一局は、予想外の一手がいくつも飛び出す、コンピュータ将棋らしい一局でした。

居飛車の玉が反対側の隅(9一)まで逃げてくるなど、大変な熱戦で見ていてとても楽しかったです。

コンピュータ将棋の棋譜は他にも見られるので、ぜひ見てみてください。

人間にとって常識外の手がたくさん見られて、ビックリしますよ!

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